リチャード十世
許容するか、教えるか
「はじめまして、ボブ。」
「ああ、しばらくここにいるよ。」
「エベレストに十回登ったって言ったかな?」
「すごいね、リチャード。十回も。」
「いや、大したことじゃないよ、ボブ。言わなくていい。本当に。仕事の一環だっただけだ。」
「すごいね、リチャード、信じられない。」
「いや、本当に大したことじゃない。ヴィンソン・マシフに二十五回登ったって言ったかな?南極大陸の最高峰だよ。」
「すごいね、リチャード、本当にすごい。」
「ボブ、そんなこと言わなくていいよ。仕事の一環だっただけだ。別の話題にしてくれた方がありがたいんだが。」
「もちろん、リチャード。気持ちはわかるよ。もし僕が——」
「ボブ、気にするなよ。」
「リチャード、すまない。」
「いいかい、ボブ、ネガティブな態度はやめてくれ。山ではそういうのは許容しないし、ここでも許容しないよ。」
「ごめん、リチャード。ごめん。」
「大丈夫だ。私の好きな賢人が言っていたよ。許容するか、教えるか。許容するか、教えるか。」
「ところでボブ、言ったかな…言ったかな…」
「いいえ、リチャード。言ってない。言ってない。でもいいんだよ。最善のことは言わないでおくこともある。」
「許容するか、教えるか、リチャード。」
「許容するか、教えるか。」
リチャードは困惑した顔でボブを振り返った。
A story by Pemba Umoja